ぶ厚くて、見栄えのする計画書ほど、そのとおりの結果にならない——。そんな場面を、私たちは数多く見てきました。計画書の中身が間違っているわけでも、いい加減に作られたわけでもありません。むしろ数字はきれいに整っている。それなのに、なぜ計画どおりに実行されないのでしょうか。私たちの経験では、理由は大きく3つあります。
ひとつ目は、その計画を「なぜやるのか」という目的が、現場に共有されていないことです。何のためにこの数字を追うのか、達成すると会社や自分たちにどんな良いことがあるのか。そこが腹落ちしていないまま数字だけが降りてくると、現場は「そう言われても……」と戸惑うだけです。目的の伝わっていない計画は、どれだけ精緻でも、誰の行動にもつながらず、そのまま棚に眠ってしまいます。
ふたつ目は、具体性に欠けることです。「売上を一割増やす」「原価を数パーセント下げる」——紙の上では筋が通っていても、いざ現場に下ろすと「それを、どうやって達成するの?」ということになります。目標という”結果”だけが書いてあって、そこへ至る道筋がない。誰が、いつ、何を、どんな手順でやるのか。そこまで具体的に落ちていなければ、現場は動きようがありません。明日の一歩が見えない計画は、立派な目標が並んでいても、行動には変わらないのです。
三つ目は、やらされ感です。自分たちが「よし、やろう」と主体的に決めたことではなく、上司や本社から「やれ」と言われて、仕方なく取り組む——そんな計画に、人は本気にはなれません。与えられた目標は、どこか他人ごとのまま。忙しい日々のなかで、真っ先に後回しにされてしまいます。数字合わせが目的で作られた計画が実行されないのも、根っこはここにあります。人は、自分で納得して選んだことにしか、本当の力は出せないものです。
裏を返せば、実行できる計画とは、この3つが逆になっている計画です。ひとつずつ、お話しします。
まず、「なぜやるのか」が共有され、現場が納得していること。この計画は何のためにあり、達成したら会社と自分たちがどう良くなるのか——それが伝わっていれば、人は言われなくても動き始めます。数字を配る前に、目的を共有する。すべての出発点は、ここにあります。
次に、誰が・いつ・何を・どうやるかまで、具体的に決まっていること。目標という結果だけでなく、そこへ至る打ち手と担当、期限がはっきりしている。「明日、まず何をするか」が見えている計画は、そのまま現場の行動になります。数字と現場の動きが、一本の線でつながっている状態です。
そして、現場を巻き込んで、自分たちで決めた計画になっていること、つまり「自分ごと」になっているということ。出来上がった計画を渡すのではなく、作る過程そのものに現場を巻き込みます。経営者と社員が一緒に「どこを目指すのか」「そのために何ができるのか」を言葉にしていく。その対話から出てきた打ち手は、最初から自分たちの計画です。人は、与えられた目標より、自分が関わって決めたことのほうが、はるかに本気で動けます。だから私たちが支援に入るときも、答えを書いて渡すことはしません。一緒に考え、納得しながら、一枚の計画にしていきます。
そしてもう一つ、大切なことがあります。どれだけ丁寧に作っても、そのとおりにいかないことも多々あります。大事なのは、計画と実績を毎月つき合わせて、ずれた原因を確かめ、軌道修正し続けること。難しく考える必要はありません。「思ったより届かなかった、なぜか、では次どうするか」を地道に繰り返すだけです。計画は、作って終わりではありません。作ってからが本番です。
この軌道修正を、社長ひとりで続けるのは骨が折れます。それでも、その先頭に立って旗を振れるのは、やはり社長です。社長が「これでいく」と腹を決めて動けば、計画は自分たちのものになり、現場も一緒に前を向きます。
人はひとりで走り続けるのは大変でも、隣で一緒に走る相手がいれば、案外続けられるものです。「計画はあるのに、そのとおりに進まない」「作ったきり、棚に眠っている」——そんな心当たりがあれば、一度お話を聞かせてください。御社の事情に合わせて、どのような伴走支援ができるか一緒に考えます。