決算を見てもらっている顧問の税理士に、評価書もお願いできるだろうか——そう考えている方に、今日は評価書に求められる「第三者性」という言葉の意味について話をします。
現行の技能実習・特定技能の運用要領は、「公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」を求めています。ただし、顧問契約先を名指しで除外する明文までは置いていません。そのため、顧問の税理士に依頼できるかどうかは、要領の明文からは断定できない、というのが正確なところです。
2027年4月から始まる育成就労制度の運用要領は、評価書を作成できる「第三者」を、初めて明確に定義しました。中小企業診断士・公認会計士・税理士等の資格を有する者のうち、評価対象となる企業との関係が構築されていないと認められる者に限られる、というものです。そのため、顧問契約等を締結している者(契約書がなくとも、実質的に業務を請け負っていると評価される場合を含みます)は、適切ではないとされます。
ここで誤解しやすい点があります。除外されるのは「御社の顧問ご本人」であって、税理士という資格そのものではありません。育成就労の運用要領は、適格な評価者として中小企業診断士・公認会計士とならんで「税理士等」を明記しています。「税理士には評価書を作成できない」という説明を見かけることがありますが、これは正確ではありません。
評価書が求められている理由は、「今は債務超過でも、改善に向かっている」ことを、利害関係のない立場から客観的に評価することにあります。自社の数字を日頃から見ている顧問が、自社の評価書を書く構造では、審査する側から見て、その客観性に疑問が残ります。第三者性は、この評価書の信頼性そのものを支える条件だということです。
もう一つ、顧問には構造上むずかしい面もあります。日頃から関与していると、その会社の事情や苦労を知っているぶん、どうしても内側からの見方になります。第三者に求められているのは、外から見て、それでもこの見込みは説明できるか、という視点です。
近すぎる立場は、「第三者」から遠ざかります。資格が足りないという話ではありません。
育成就労が明文化した基準では、除外される範囲が正式な契約書の有無だけでは決まりません。「契約書がなくとも、実質的に業務を請け負っていると評価されるものを含む」とされています。単発で一度だけ財務診断を行った、といった関係とは別に、継続的に経営に関わっている場合は、契約書を交わしていなくても第三者性が説明しにくくなります。
評価書を作成する側にとっても、この線引きは他人事ではありません。一度評価書をきっかけに経営改善の支援に入った企業については、その後は同じ立場で評価書を書き続けることができなくなる可能性があります。評価する立場と、支援し続ける立場は、両立しにくいということです。
顧問に頼めないとなると、では誰に、という話になります。ここで手がかりになるのが、評価書に何を書くことが求められているか、という点です。債務超過に至った理由を分析し、改善の取組みを整理し、解消の見込みを根拠とともに述べる——これは、決算書を読む力と、経営の中身を分析する力の両方を必要とする作業です。
依頼先を選ぶときは、「決算書のどこを見て、何を根拠に見込みを立てるのか」を尋ねてみるとよいでしょう。手順を具体的に説明できる相手であれば、書面の中身も具体的になります。逆に、様式に当てはめて埋めるだけの対応であれば、育成就労で求められる水準には届きにくいかもしれません。
今の時点で顧問に依頼すること自体は禁じられていませんが、2027年4月からは明確に制限されることが分かっています。今のうちから、顧問関係のない第三者に評価書を依頼する形に慣れておくと、制度の切り替わりでも慌てずに済みます。
本記事は一般的な考え方の紹介であり、個別の審査の結果を保証するものではありません。
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