経営管理ビザの事業計画書を、5W2Hの7つの問いで考えるシリーズ。今回は最初の問い、Why(なぜ)です。なぜこの事業なのか。なぜあなたなのか。そして、なぜあなたの会社ならうまくいくのか。計画書の数字をいくら整えても、この問いへの答えが見えないと、計画全体が「なぜこの計画がうまくいくと言えるのか」という問いに答えられません。
Whyは、主に「具体性」にかかわる問いです
なぜこの事業を、この人・この会社が行うのかは、主に「具体性」の観点にかかわります。市場があること、経営者に経験やスキルがあること、そしてほかの会社との違いが、この事業に即して書かれているかどうかです。
3つの「なぜ」で考える
- なぜこの事業なのか——お客さまの困りごとや、求められているものがあるか(市場性)
- なぜあなたなのか——その事業に必要な経験やスキルを、経営者が持っているか
- なぜあなたの会社ならうまくいくのか——ほかの会社にはない強みや、すでに持っている取引のつながりがあるか
3つとも、長く書く必要はありません。それぞれ2〜3行で、この事業と、この経営者でなければ書けない理由が入っていれば十分です。
「市場が大きい」だけでは、なぜにならない
「日本は市場が大きいから」「この業界は成長しているから」——こうした理由は間違いではありませんが、同じ事業を始めるどの会社にも当てはまります。市場の大きさは、この事業に機会があることは示せても、その機会をこの会社がつかめる理由にはなりません。
たとえば、次のような違いです。
足りない書き方——「建設業界は需要が大きく、工具の卸は成長が見込めます。」
伝わる書き方——「母国の建設会社では、日本製の工具の修理用の部品が手に入りにくく、工事が止まることがあります。経営者は、母国の工具の販売会社で10年間、日本のメーカーとの取引を担当してきました。その取引先のうち3社とは、開業後も部品を仕入れる話がついています。」
後者には、市場性(部品が手に入りにくいという困りごと)、経験やスキル(日本のメーカーとの取引を10年)、この会社ならではの強み(話のついている仕入先)が、短い文のなかにそろっています。
Whyの答えは、ほかの問いの出発点になる
3つの「なぜ」がはっきりしていると、そのあとに続く問いの答えが、Whyとつながります。経営者の経験は Who(誰が)に、ほかとの違いは What(何を)に、お客さまの困りごとは Who(誰に)や How much(いくら)の売上の見込みに、それぞれつながっていきます。反対に、Whyで書いた強みがほかの問いの答えに一度も出てこなければ、そこを見直すところです。
まずは、3つの「なぜ」に2行ずつ答えてみる
なぜこの事業か、なぜあなたか、なぜあなたの会社ならうまくいくのか。まずはこの3つに、2行ずつで答えてみてください。そのうえで、次の点を見直してみます。
- 市場の大きさだけで、理由を済ませていないか
- 経営者のこれまでの経験やスキルが、具体的に書かれているか
- ほかの会社との違いや、すでにある取引のつながりが書かれているか
次回は、2つ目の問い「What(何を)」を見ていきます。
本記事は一般的な考え方の紹介であり、個別の審査の結果を保証するものではありません。
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