経営管理ビザの新規の申請では、事業計画書を用意します。けれども、出入国在留管理庁の案内には、決まった様式が示されていません。何を、どこまで書けばよいのか——書き始められずにいる方もいると思います。今日は、事業計画書を誰が書くのか、2025年10月に何が変わったのかを整理したうえで、書くべき要素を5W2Hの7つの問いで押さえます。
事業計画書は、申請する側が用意する書類です
最初に、役割を分けておきます。事業計画書は、申請に添えて出入国在留管理庁に提出する書類で、申請する側が用意します。
出入国在留管理庁は、改正の案内のなかで「弁護士及び行政書士以外の方が、官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがあります」と注意を促しています。このあと出てくる中小企業診断士・公認会計士・税理士は、用意された計画を確認し、評価する側です。
2025年10月から、専門家による評価が必要になりました
2025年10月16日に施行された改正で、在留資格を決めるとき(新規の申請や、ほかの在留資格からの変更など)に出す事業計画書は、経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受けることになりました(上場企業に相当する規模の場合などは、この確認の対象から除かれています)。出入国在留管理庁の案内では、施行日の時点で該当する者として中小企業診断士・公認会計士・税理士が挙げられています。
このように、事業計画書を読むのは、評価する専門家と、最後に審査する出入国在留管理庁です。このシリーズでは、この人たちをまとめて「読む人」と呼びます。
なお、この評価を受けた書面についても、出入国在留管理庁の案内には、決まった名前や様式は示されていません。私たちは「事業計画評価書」と呼んでいますが、決まった名前ではありません。中身は「事業計画書を、次の3つの観点で評価したもの」です。
確認で見られるのは、具体性・合理性・実現可能性の3つです
出入国在留管理庁の案内では、計画に具体性と合理性が認められ、実現可能なものであることを評価する、とされています。3つの言葉を、私たちなりに短く言い換えておきます。
- 具体性——何を、誰に、どのように売るのか。なぜ、いつ、どこで始めるのかが、はっきり書かれているか
- 合理性——売上や費用の数字に無理がなく、その根拠が示されているか
- 実現可能性——その計画を、この会社が本当に実行できるか。お金や人の備えに加えて、経営者やスタッフが、その事業に必要な知識や経験を持っているか
書くべき要素は、5W2Hの7つの問いで押さえる
事業計画書に書く項目は、法令で決まっているわけではありません。どんな順番で、どんな見出しで書くかは、事業によって変わってかまいません。ただ、どの事業計画書にも欠かせない要素はあります。それを確かめるのに便利なのが、仕事の場面で使われる「5W2H」の7つの問いです。
- Why(なぜ)——なぜこの事業なのか。なぜあなたが行い、あなたの会社ならうまくいくと言えるのか
- What(何を)——どんな商品やサービスを売るのか
- Who(誰に・誰が)——お客さまは誰か。事業を担うのは誰か
- Where(どこで)——事業所はどこか。どの地域で売るのか
- When(いつ)——いつ始め、いつ営業し、いつ届けるのか
- How(どのように)——どう売り、どう知ってもらい、どう用意するのか
- How much(いくら)——値段、売上、費用と利益、必要なお金と、その調達
7つの問いに答えがそろっていれば、先ほどの3つの観点に答える材料も、おおむねそろいます。この言い換えで見ると、Why・What・Who・Where・When・How は主に具体性に、When と How much は主に合理性に、Who・Where・How・How much は主に実現可能性にかかわります。反対に、答えられない問いがあれば、そこが計画書の抜けているところです。
違いは、同じ事業を2通りに書いてみると分かります。
足りない書き方——「新しい事業で、売上を伸ばします。」
伝わる書き方——「日本で働く外国人に向けて、仕事で使う日本語の教室を開きます。開業から1年は、つながりのある3社の社員を中心に、月20人の受講を見込みます。授業は、経営者と、日本語教師の経験がある常勤の講師1名で行います。」
後者には、何を・誰に・どのように(具体性)、見込みの数字とその出どころ(合理性)、それを行う人(実現可能性)が、短い文のなかにそろっています。
読む人が見るのは、文章のうまさではありません。7つの問いの一つひとつに、根拠のある答えが書かれているかどうかです。
まずは、7つの問いに1行ずつ答えてみる
手元に計画書の下書きやメモがあれば、7つの問いに、それぞれ1行ずつで答えてみてください。まだ何もなければ、白い紙に7つの問いを書くところからで十分です。すぐに答えられる問いと、手が止まる問いが分かれるはずです。手が止まった問いが、これから時間をかけるところです。
次回からは、この7つの問いを1つずつ取り上げて、何を考えておけばよいかを見ていきます。
本記事は一般的な考え方の紹介であり、個別の審査の結果を保証するものではありません。
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