前回(前編)で、自分の時間を1週間記録してみる話をしました。今回は、その記録を使って、社長にしかできない時間を取り戻していきます。やることは、記録を「作業」と「判断」に分け、そこから“作業”を少しずつ手放していくことです。
記録を「判断」と「作業」に分ける
記録した項目を、まず次の2つに色分けしてみてください。
- 判断=社長にしかできない仕事(方針を決める、人を評価する、大きな取引を決める)
- 作業=やり方が決まっていて、誰がやっても結果が同じ仕事(入力、確認、手配、雑務)
多くの社長は、ここで「こんなに作業をしていたのか」と気づきます。一日の大半が「作業」で埋まっているからです。作業は目の前にあって、やれば片付くので達成感もある。だから抱え込みやすい。けれど、作業に時間を使うほど、会社の先を決める「判断」の時間は削られていきます。逆に言えば、作業を手放した分だけ、判断の時間は戻ってきます。
作業は「やめる→任せる→ルール化」で手放す
「作業」に印をつけたら、次の順番で手放していきます。大事なのは、一度きりで終わらせず、少しずつ繰り返すことです。
- ① やめる:そもそも要らない作業を止める。惰性で続けている会議・報告・資料は、思い切って無くす。
- ② 任せる:残ったものの中から、部下に任せられるものを選んで渡す。丸投げではなく、「判断してよい範囲」と「報告のタイミング」を決めて。
- ③ ルール化する:それでも自分に残った作業は、手順やチェック表にして“仕組み”にする。次から、誰がやっても同じ結果になる形に。
- ④ ルール化できたら、また任せる:仕組みにできた作業は、もう社長がやらなくて大丈夫。ルールごと部下に渡す。
この「やめる→任せる→ルール化→また任せる」を一周まわすたびに、社長の手元の“作業”は少しずつ減っていきます。一度に全部やらなくて大丈夫。回すほど、軽くなります。
「任せる人がいない」と感じるなら、まず①の「やめる」から。任せる相手を探す前に、渡す仕事の量そのものを減らすほうが早い、ということは少なくありません。まずは一周、小さく回してみてください。
生まれた時間を“経営の数字を見る”に回す
効率化のゴールは「楽になること」ではありません。空いた時間を、会社の未来を決める仕事に振り向けることです。
毎日30分、あるいは週に2時間でもいい。資金繰りの見通しと、赤字が出ている業務を眺める時間をつくる。それだけで、打ち手の精度は変わってきます。「効率化で時間を生み、その時間を付加価値に変える」——私たちが大切にしているのは、まさにこの流れです。忙しさを減らすこと自体が目的ではなく、その先に“考える経営”を取り戻すことが目的です。
まずは、ひとつ手放すことから
記録の中で「作業」に印をつけた仕事から、ひとつだけ選んでください。それを「やめる/任せる/ルール化」のどれにするか決める。まずは一つ手放せれば、そこから時間は生まれ始めます。あとは同じことを、少しずつ繰り返していくだけです。
「どこから手をつければいいか分からない」と感じたら、業務の棚卸しからご相談ください。第三者の目で、社長が抱え込んでいる仕事を一緒に仕分けします。