現預金残高が少なくなってくると、頭の中は金策でいっぱいになります。今日の支払い、来週の入金、銀行への説明——目の前のお金をつなぐだけで一日が終わり、本来やるべきことに手がつかない。そのつらさは、よく分かります。でも、そこから抜け出す道筋は、ちゃんとあります。
ひとつだけ、知っておいてほしいことがあります。金策“だけ”では、いつか息切れしてしまいます。今日お伝えしたいのは、具体的な資金繰りのテクニックではありません。苦しいときこそ持っていたい“心の持ちよう”——お金との向き合い方そのものの話です。
金策は「延命」、改善は「回復」——役割が違う
得意先に頭を下げて入金を早めてもらう。仕入先に相談して支払いを少し待ってもらう。滞留している在庫を安価で販売し、現金化する。こうした金策は、会社を生きながらえさせるために、本当に大切な手当てです。まず、やるべきことでもあります。
ただ、これらの方法は、根本的なお金の流れを変えるわけではありません。入りと出のタイミングをやりくりして、時間を稼いでいる——いわば「延命」です。会社の体質そのものが変わるわけではないので、これらによって獲得した資金は、いつか底をつきます。
体質を変えて、お金が生まれるようにしていくのが「回復」です。金策で稼いだ“その時間”を使って、少しずつ回復の手を打っていく。この両輪が回って初めて、資金繰りは本当の意味で楽になっていきます。
金策に追われても、週に1日は“種を蒔く日”を
とはいえ、現預金残高が減れば金策が最優先になるのは当然です。それでも——週に1日、できれば2日でいい、「少し先を見据えて種を蒔く日」を作ってください。その日は、目先の対応から少しだけ離れて、会社をどう良くしていくかに頭を向ける日です。
種を蒔かなければ、新しい芽は出てきません。何を見直せばいいのか——その具体的な見つけ方は、また別の回でお話しします。ここで大切なのは、「回復のための時間を、意識してつくる」という一点です。
金策は、いわば輸血です。今の会社の命をつなぐために、欠かせないもの。でも、出血そのものを止めなければ、またいつか輸血が必要になります。その出血を止めるのが、“種まき”——業務の改善です。
「今はそれどころじゃない」と感じるときこそ
苦しいときほど、種まきは後回しになります。「落ち着いてから」と思っているうちに、また次の支払いがやってくる。その繰り返しの果てが、今の状況なのかもしれません。
だからこそ、完璧を目指さなくて大丈夫です。半日でもいい、月に数回からでもいい。社長自身が「この時間は、未来のために使う」と決めて、守る。その小さな一歩が、半年後の景色を、少しずつ変えていきます。
まずは、カレンダーに“種を蒔く日”を
まずは、来週のカレンダーに“種を蒔く日”を1日、書き込んでみてください。予定として先に押さえてしまえば、緊急対応に流されにくくなります。その日は、「うちの会社を、どこから良くしていけるか」を考える時間に。それだけで、動き出します。
資金繰りの不安の“元”がどこにあるのか、現状を整理するところから一緒に始められます。一人で抱え込まず、迷っている段階でも、どうぞ声をかけてください。